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tricksterの美雨が運営する異次元ワールドです。 日頃の腐った話、フツーにおバカな話満載ですが、ほとんど漫画・アニメ・ゲーム・・etcなかんじです。
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え~、昨日言ってたものをあげようかと。
うん、わかってる。ホントはこんな暇まったくないんだけども。

注・某ひねもしてる方×つんつんなにゃんこ先生の飼い主です。
いや、今回の声グラのラブメガネやばいよまじで!!!!!(話脱線。)
よくありがちな甘いネタ&つんつんさせきれなくてどうにも悔やまれるカンジです。
互いの視点が交互なので若干見にくいかもです。ホント久々にかいたもんで・・・。

そんなんでも暇つぶしにみてやるぜって人はどうぞ。


 







―・・・断ればよかった。

さっきから何度目か分からないその考えに神谷は隣に座る男を見遣った。
僅かに酔って一人の世界に入っているような男――小野大輔は、さっきから茅原の話ばかりだ。
今や気持ち悪いがトレードマークになりつつある彼だがどうやら、あの拒絶っぷりには相当堪えているらしい。

「小野くん、ちょっと飲み過ぎじゃない?俺、送って行かないよ?」
「ひどいですよ~神谷さん、そんか突き放さなくても・・・もう一杯。」
「人の話聞いてた!?」
「だって・・・もうすぐみなみけも始まるし・・・ハルヒの方でも・・・」
「そりゃあ小野くんが気持ち悪いからなぁ」

話によれば、ラジオの最終回でも相当な有様だったとネットでも出ていた。

「気持ち悪いんじゃないです!キモカッコイイんです!」
「はぁ・・・。」

さっきから話がループしてるような気がするのだが、気のせいだろうか。だんだんイライラしてきたのは、たいして飲めないものを勢いで飲んでいるからだろうか。
――・・・・久しぶりに一緒に飲みましょうっていうから来たっていうのに、ただの愚痴に付き合う為に呼ばれたのかよ。

「もう、ライブとかでも柿原くんしか俺の友達いないし・・・」
「・・・・・・そーかよ。」

・・・・・・しかも、友達自慢か?誰にもへらへらしやがって。この前は他の奴にも泣きついてたじゃねーか。だいたい小野くんの分際で生意気だ。じゃあ俺は何なんだよ・・・って、

――あぁ、なんか駄目だ。

「悪いけど、帰る。」
「ん?神谷さんもう少し飲まないんですか?」
「俺、結構飲んだし。」
「そーですか?」
「そーだよ、これから大忙しな小野くんと違って俺そんなに金ないし。」
「いや、神谷さんも十分・・・」
「うっさい!生意気なんだよ!」

店にいるということを忘れて神谷は思わず大きな声を出していた。

「ぁ、・・・・・・ごめん、帰る。」

自分の飲んだ分だけ代金を払って神谷は急いで小野の顔も見ず店を出た。


***


再び適度な喧騒を取り戻した店のドア口を小野は呆然と見ていた。

―――僕は、馬鹿だ。
自分の悪い癖だ。体裁ぶってみんなと上手くやりたいと思う余りに、本音を見失いがちになる。
きっと彼は勘違いしている。

「神谷さん、僕は・・・」

残った酒を飲み干し、小野は急いで店を出た。


***


外はすっかり暗くなっていて、冷たい風に思わず身震いした。

「あ、上着。」

焦っていたせいで脱ぎっぱなしの上着はあの店に置きっぱなしにして来たことに気付いて力もなく笑う。

――ホント、馬鹿じゃん俺。

小野くんが誰にだって優しいのはよく分かってることだし、そういうところが彼の長所だって分かっているのに。
「大好きですよ」って言われては拒絶していることが彼を遠くに追いやっていることだって分かっているのに。

優しさを受け止めたくない。いや、怖くて受け止めることが出来ない。

矛盾している自分が嫌で・・・、でも本当は・・・

「神谷さんっ!!」
「ぇ、小野・・・くん?」

後ろを振り返ると、息を切らせながら足速にやってきた小野がいた。


***


彼はそんなに先を行っていなかったようで、小野が声をかけるとあからさまに驚いた顔をしていた。

「上着、忘れてますよ・・・って、ちょっと!なんで無視するんですか!」
「どーでもいいだろ!あ、でも上着は返せ!」
「それはまぁそうしますけど・・・いや、じゃなくて!こっちを向いて下さい!」
「嫌だ!」
「神谷さん!」

せっかく縮まった距離が僅かに再び開く。

「無理!今日は調子悪いんだよ!俺は早く帰って寝るんだ!」

――嘘。そんなに目一杯歩いていれば誰でも元気だって分かりますよ。

「それに、ニャンコ先生腹空かせて待ってるかもしれないし!」

――神谷さんは家出て来る前に必ず餌あげてるじゃないですか。
バレバレな嘘。
それは合図だって僕だけが知ってる。
本人は無意識だろうけど、弱さを見せないようにって頑張ってるように僕には見えて・・・・

ああ、なんでこんなに愛らしいんだろう。

「だから・・・っ!!?」

小野は神谷を後ろから抱きしめた。
二人の距離は零。
小野の体に神谷の鼓動が伝わる。

「すみませんでした・・・。僕、神谷さんの気も知らないで。でも、嬉しくて・・・久しぶりに一緒に飲めて・・・一緒にいれて・・・」

神谷は大人しく前を向いたままだ。でも、小野は自分が彼に回した腕の袖を掴む神谷の手の力が僅かに強くなるのを感じた。

「馬鹿じゃねぇの?そういうこと口に出すなよ。」
「でも、こうやって口に出さないと・・・不安じゃないですか?」
「、誰が寂しいとか言うかよ!」
「・・・神谷さんのことじゃないですよ・・・?」
「・・・っ!?小野くんうざいっ!」
「痛っ、腕痛っ!」
「うるさい!これくらいの罰は堪えろ!」
「ちょ、罰って何ですか?」
「俺をのけ者にした罰。」
「今日話したじゃないですか。」
「そうじゃなくて、・・俺を友達として見てなかったこと。」

小声で呟く神谷に小野は静かに言った。

「そりゃあ友達として見てないですよ・・・神谷さんは僕の大切な人なんですから。」
「・・・な、っん!?」

驚いて振り返り様に口をぱくぱくさせる神谷に小野はそっと自分の唇を押し当てた。

「っふ、お・・・のくん、」

―――いつもはガード固いのになぁ。
こうやってたまにくのは反則だろう・・・他の人達が手を出さないか心配だ。

「・・・っは、お前、人来たらどーすんだよっ!離れろ!」
「えー、今の浩史すごいカワイイから離したくないー。」
「カワイイとか言うな!ったく!」
「ちょっと、さようならの挨拶もなしですか!」

小野が手を放した瞬間歩き出す神谷に慌てて声をかけると、先を歩いていた神谷は足を止め、じっと小野を見ている。

――こっちに来いってこと・・・なのかな?

恐る恐る近寄った小野に神谷は早口に言う。

「そんなに来たそうな顔してんなら来ればいいだろ。」
「は?」
「、うちに来いって言ってんの!来なくてもいいけど!」
「・・・は、はい!是非行かせて下さい!」
「・・・うん。」

一言「行くぞ」と言って歩きだす神谷の隣りを小野も歩き出す。
――本当に神谷さんは優しいな。

「僕、神谷さんのこと大好きです。」
「・・・そう。」
「好き過ぎて、他の人のことなんか見てられない位に。」
「・・・ふーん。」
「でも、器用に接することが出来ないんです。こうやって神谷さんが本音を出してくれると助かってるんですよ。」
「は?いつ俺が本音出してるよ?」
「うん、いいですよ神谷さんはそのままで。」
「?まぁいいけど。・・・っていうか、俺も不器用だし・・・小野くんには助けられてるし・・・。」
「神谷さんっ!!」
「わ、ちょっと!小野くん顔近いし気持ち悪い!」
「気持ち悪くて結構でーす。」
「それはそれでさらに引くって・・・だからダメなんじゃないの?」

「いや、もういいですよ。僕はこのまま突っ走りますよ、そしてずっと神谷さんにくっついてますから。」

小野が微笑むと神谷は一瞬目を見開き、「馬鹿、気持ち悪いよ」と言って少し前を歩く。

――浩史、顔真っ赤。

「まあまあ、一緒に寝るから機嫌直して下さいよ。」
「小野くん、ソファーで寝る?」
「え、それは勘弁して下さいよっ!!」

わずかな街灯にまぎれて、ほんのわずかにだけど・・・・
自分の隣の彼にはにかんだような微笑みが見れた気がした。

 

 


 

 

「やっぱり無理だよぉ~・・・。」
「何、みのりん?小野さんのこと?」
「うん、なぜか拒絶反応出しっぱなしなんだよね、私の体。」
「大丈夫だよ。オレの実里はオレが守るっ!」
「ふふ、ホントに?・・・ありがとう、まりなちゃん。・・・じゃあ、よろしくお願いします。」
「~~!!もう、危なっかしいなーこの子は!」
「っ?まりなちゃん、苦しいょー。」

 

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